皆さんこんにちは、ハビアーです!
今回はメジャーで最も有名な代理人であるスコット・ボラスが如何にして今の地位を築いたのか。
そして、なぜ大型契約の多くはこの代理人なのかを調べてみました。
普段からメジャーを見ている方であれば、「ボラス案件」とか「ボラスフォー」といった言葉を聞いたことがあると思います。
あまりよく知らない方でも、なんか入団会見によくいるおじさんだな〜という認識はあるかもしれません。
今回はそんなスコット・ボラスについて知ってもらえたらと思います。
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実は、ボラスは元々マイナーリーガーだったんです。
カージナルスやカブス傘下のマイナーチームで、4年間プレーした後、膝の故障をきっかけに、選手としてのキャリアを終えました。
マイナー(AAまで到達)では主にセカンドやサードを守り、通算371試合で打率.288/4HRを記録しました。
その後ボラスは、卒業したカリフォルニア州サクラメントにあるパシフィック大学へと戻り、薬学博士号を取得しました。
同大学にあるマクジョージ法科大学院を卒業した後は、シカゴの法律事務所で働いていました。
その際にボラスは、初めて野球選手の代理人を務めます。
そして、1985年にリリーフ投手ビル・コーディルとブルージェイズの5年契約(金額は定かではないが700万ドル前後)を交渉。
これは当時の野球史上最高の契約でした。
ちなみに、この契約を結んだコーディルは、ボラスと2年間マイナーでともにプレーしたチームメイトであり、友人でした。
引退後にコーディルは、ボラス・コーポレーションでスカウトとして働きます。
話は戻り、まだ代理人として有名ではなかったボラスは、これが自身にとっての天職だと感じ、その後法律事務所を辞め、フルタイムで選手の代理人となります。
その後は、1998年にケビン・ブラウンとドジャースの7年1億500万ドル
2000年には、アレックス・ロドリゲスとレンジャーズの10年2億5200万ドルの契約をまとめます。
ボラスは常にその時代の最高額を更新し続け、昨年はフアン・ソトとメッツの15年7億6500万ドルという球界に新たな基準を設定しました。
また、FA契約だけでなく、ドラフト指名選手の契約金の高騰を促しました。
1983年のドラフトでは、全体1位指名のティム・ベルチャーに対し、前年の全体1位指名と同額の10万ドルを拒否させ、15万ドルのボーナス契約を要求しました 。
この出来事が、1990年代以降のドラフトにおける数百万ドルのボーナス契約の慣例化につながったとされています 。
1991年には、ニューヨーク・ヤンキースから全体1位指名された高校生左腕のブリエン・テイラーに対して、「契約しなければ進学する」と発言させ、120万ドルの契約金を要求し、最終的に当初の要求額を上回る155万ドルの契約を結ばせました 。
これは、史上初の契約金が100万ドルを超えた新人選手となりました 。
ボラスの根底にあるのは、選手側の利益を最大化すること。
ボラスは、野球選手のキャリアの儚さ、収入の不安定さを自身の経験からも知っています。
代理人になってからも、早期引退となる選手を数多く見てきたことでしょう。
「選手の引退後のキャリアを保証する。」
それは好条件の契約を結ぶこともそうですが、関係を持った選手のポストを用意することもそうでしょう。
ボラスは、チームからは悪魔と呼ばれますが、逆に選手からしてみれば、天使のような存在です。
自身の利益を最大化しようと動いてくれるボラスを代理人にする選手が多いのはそのためです。
とはいえ、全員が全員、目標とする契約を得られるわけではありません。
ここでは、少し前に「ボラスフォー」と呼ばれた大物FA選手4人を例に挙げたいと思います。
2023年オフにFAとなったベリンジャー、チャップマン、スネル、モンゴメリーは大型契約を狙っていましたが、4人とも2年契約までしか結べませんでした。
恐らく妥協すれば、もう少し長い期間の契約をもらえていたと思いますが、ボラスは強気の交渉スタイルが売りの代理人です。
これで成功を収めたため、「強気で交渉すればするほど獲得額が増える」というスタイルを変えることができないと言われています。
結果として、そのオフに大型契約を結ぶことはできませんでしたが、チャップマンはその後ジャイアンツと契約延長。
スネルは1年後のオフにドジャースと5年契約を結びました。
一方で、モンゴメリーは期待した契約が結べなかった後、すぐに代理人を変更しましたが、その後はトミー・ジョン行きで今後のキャリアは不透明になっています。
このように、全部がうまくいくことはないにしても、最高額の契約を生むために、妥協しない。
ここに、ボラスの信念のようなものがある気がします。
ボラスは現在72歳で、確かに読み違う場面も見受けられます。
ただ、長期的にみれば、妥協して利益を減らすよりも、納得のいく契約になるように交渉する。
このスタイルだからこそ、ボラスが最も影響力のある代理人になっているのではないかなと思います。
ボラスは、元マイナーリーガーとしての経験と法学の専門知識を活かし、ドラフトやFA契約における常識を覆しました。
それはチームサイドや応援するファンからすれば、不良債権を生み出す悪魔的存在ですが、選手からすれば、「スーパーエージェント」ヒーロー的な存在です。
ボラスがこれまで約40年の間、プロスポーツ史上最高額を更新し続けてきましたが、ボラスが引退した後は、選手有利の交渉が続くかはわかりません。
恐らくボラスも後任を育て始めているとは思うのですが、チーム側とのパワーバランスが変化するのかしないのか。
新たな戦略を取るスーパーエージェントがまたどこかのタイミングで台頭してきそうです。
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